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2007年02月26日

『イン・ザ・プール』

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読みやすい小説はないかと本屋を探していたら、
主人公が精神科医の本があったので、手を取ってみた。
この一年で本を読む習慣を付けたい僕にとってみれば、
深く考えず気楽にスラスラ読める本は、その導入にありがたい。


で、その本が奥田英朗の『イン・ザ・プール』だった、と。

実際、何も考えず、といっても「こんな医者いねーよ」と考えながら
読んでいたのだが、恐らく普通の人が読むのと
精神科をかじった僕が読むのでは印象が異なるだろう。


この本のテーマは、さりげなく文中に一回だけ登場する、
「森田療法」という言葉だ。

森田療法とは神経症の患者に用いられる精神療法の一種で、
簡単に言えば患者に「あるがまま」を受け入れさせる。
例えばある状態で不安になる患者に対しては、
不安にならないようにするのではなく、「不安は生じるものだ」と受け入れさせ、
その上で「不安を持ったままでも色々なことが出来る」ことを分からせる。


「あるがまま」。何と魅力的で、そして同時に困難を想像させる言葉だろうか。
主人公の精神科医、伊良部はこれを地で行く。
個人的に一番面白かったエピソードは、おもちゃの抽選会での出来事。
手違いで伊良部と子供の2人が当たってしまう。賞品は一つ。
もちろん大の大人なら、子供に譲るだろう。
しかし伊良部は譲らない。挙句じゃんけんで勝ってしまい、大喜びする。

なんてあるがまま!森田先生もびっくりのあるがまま!
空気なんて何のその。友達はいない。けれどそれすら気にしない。
彼を自由という言葉で形容するのも気が引ける。
それじゃあ「自由」という言葉の心象が悪くなってしまう。

けれど、この気持ちの悪い彼は、最初患者に訝しがられる彼は、
最後には「伊良部と話せるのだけが救いだ」と思われ、
患者は症状を緩和されるのだ。


伊良部マジックのタネは具体的な薬物や巷の精神療法ではなく、
森田療法とカテゴライズするには憚られるほどの、
あるがままの患者と伊良部自身の受け入れにある。


患者を受け入れる。これは実は難しいことだ。
特に、人格障害や妄想は、なかなか受け入れにくい。

僕はかつて「小人が喉につまる」と言う患者さんを診たことがある。
僕は何の情報もなくそれを聞いたので、絶句してしまった。
その後一体何を聞けばいいのか頭をフル回転させた記憶がある。
僕が信じていないことは恐らくその時患者に伝わってしまったと思う。

患者の言うことを否定しないことは簡単だ。
しかし、「それは妄想だ」と思っていないことを悟られないのは難しい。気がする。
(誤解なきよう。妄想に囚われる患者は、決して嘘をついているのではない。)

また、どこまで妄想を受け入れていいのかという問題もついて回る。
妄想を受け入れすぎると、「医学の権威も私の言うことを肯定した」という形で、
妄想が固定化されるからだ。


この点、伊良部は相手を受け入れながらいつの間にか介入している。
どこまで計算か分からないが、現実的に実践できるかは置いておいて、
上手いと思う。自分を受け入れてくれた相手には介入を許すものだ。


そして、次の点を強調したい。
患者が伊良部に救われる大きな理由に、
伊良部が患者を受け入れる以上に、伊良部が伊良部を受け入れていることがある。

何故この点が重要か?

一般的に、人を救うのは共感ではない。
共感は孤独を一時的に和らげる。
確かに孤独こそが問題であるなら、共感や理解は確かに問題を解決する。
しかし往々にして人が背負っているモノを下ろしてあげるには力足りないのだ。
結果、共感は馴れ合いの反復を生み、
「孤独ではない」という思いこそが問題を泥沼化させたりする。
そこに見えていた水面も、今では遠くなってしまい、
濁った水の中に僅かに溶け込む酸素に喘ぐ。

そういう状態を救うのは、理解でも、共感でもなく、もっと暴力的な何かなのだ。
その5cm先も覗けない汚濁を澄んだ水に変えてしまうような、
もしくは光で湖底を照らし、僅かに残っていた植物に光合成を再開させるような。
そのような力は泥沼の外側に存在する、
「あなた」が味わっているような苦しみとは無縁に生きてきた人間だったり、
エゴイスティックで彼に想像力について尋ねるのもバカらしいと思えるような、
そういう人間から発せられたりするすることだってあるのだ。


「あるがまま」であれ、と言われるより、
「あるがまま」を受け入れてくれるより、
「あるがまま」の人間を目の前に見つけることの方が効果的なことがある。

伊良部は「あるがまま」の見本となることで(本人の意図は問題ではない)、
患者に学習させる。
患者は「あなたらしく」と言われても、そうできないから困っているのだ。
不安だから。
だからこそ、伊良部のように、実際にやってみせている人間が救いとなる。

伊良部は患者の気持ちを想像して共感しているのではない。
ただ、新しい世界の存在をちらつかせている。


…と言っても、伊良部的な手法を狙ってできるかと言ったら難しい。
変人扱いが待っているのは確実だ。なかなか普段の相談には生かせそうにないw


「空中ブランコ」、「町長選挙」も読んでみようかな。


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posted by あゆ at 02:39| Comment(4) | TrackBack(1) | 芸術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
奥田英朗は直木賞とった時にミーハー精神全開で「空中ブランコ」読んだだけなんですけど、あゆさんの分析を読む限り、そういう人の内面の葛藤?みたいのを描く人なんですね。興味が湧いてきたのでこの本も読んでみたいと思います。

あと、国試が終わったらすぐに文化芸術的活動に勤しまれてる様が伝わってまいりましてうらやましい限りです。充実した一年をお過ごしください。
Posted by yunicorn at 2007年02月27日 23:42
「内面の葛藤」と書くと実際の文体に比べて少し重い気もするが、
「イン・ザ・プール」は精神科に掛かる患者の内面をポップに描写していると思う。
日記の文章は医学生視点&あゆの価値観に都合のいいように解釈したりもしてます。

宮本輝の何を読むべきかを教えてください。
Posted by あゆ at 2007年02月28日 22:55
大学生だってことで「青が散る」くらいから読み始めて、『優駿』とか『オレンジの壺』とか読んでみるとよいかも。

そして『流転の海』シリーズとか「人間の幸福」とかかな。『泥の河』とかの河3部作とかも読んでみるとよいかも。そして『錦繍』が好きっていう人も多いのであります。
Posted by yunicorn at 2007年03月08日 15:10
いっぱいあるなww
いろんな人からいろんな本薦められて、読む本が溜まってきた!

d!
Posted by あゆ at 2007年03月11日 00:00
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Excerpt: by Seesaaショッピングイン・ザ・プール¥ なかなかに面白い本でした。 伊良部っていう結構どうしょうもない医者(精神科もしくは神経内科)にかかりにくる患者さんのお話。4人の患者について。 ..
Weblog: 黒い鏡に映るのは
Tracked: 2007-03-27 17:25
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